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PRODUCTION NOTESプロダクションノート

  • VOYAGE 1- 前作の反響と新作の始動 -LINK
  • VOYAGE 2- 大沢たかおと海江田四郎が放つもの -LINK
  • VOYAGE 3- 北極海のバトルはいかに描き出されたか -LINK
  • VOYAGE 4- 政治をめぐるドラマと新キャスト -LINK
  • VOYAGE 5- 新しい挑戦を求めて -LINK
  • VOYAGE 1

    - 前作の反響と新作の始動 -

    その男の行動と言動が、世界を動かしていく。そして、その男の物語と彼が主人公である作品が、世界を変えていく─。

    かわぐちかいじの同名コミックを原作として、主演・プロデュースに大沢たかお、監督に吉野耕平を迎え、Amazon MGM スタジオが実写映画化した『沈黙の艦隊』。2023年9月29日に劇場公開となり、2024年2月9日から本編未公開シーンとその後を描いたドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」がPrime Videoで配信され、大きな話題を集めた。シリーズを通じて、「Amazonが東宝さんと組むのは初めてで、さらに劇場からドラマシリーズへ続くということで、どれも前代未聞の挑戦ではあったんです。しかも、連載から30年を経て『沈黙の艦隊』を実写映像化すること自体も挑戦だった中、今の情勢と重なるものがあったうえに、政治家の方からも反響をいただいて、『沈黙の艦隊』の影響で現実のほうが動いているんじゃないかと思ってしまうくらいの大きさを痛感いたしました」と語るのは、Amazon MGM スタジオの戸石紀子プロデューサー。

    「劇場は男性の方に多く足を運んでいただきつつ、配信でさらに若い女性にも広がっていって、根底にある壮大な人間ドラマが支持いただけたのかなと思います。やはり結果が出ないことには次は作れないですが、おかげさまでヒットにつながって、2024年に日本の主要な定額動画配信サービスで公開されたオリジナルコンテンツで、Prime Videoの実写作品として初めてトップテン入りすることが出来たんです。(※)『沈黙の艦隊』を観たくてPrime Videoに入られたという方も多くいらして、コンテンツの人を動かす力を改めて感じました」(戸石プロデューサー)

    それを受けて登場するシリーズ第二章、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』。企画と制作を担ったクレデウス・松橋真三プロデューサーは、「このパートが一番やりたかったところでもあるんです」と語る。
    「原作の中でも特にエンターテインメント性が高い屈指の潜水艦バトルシーンをどういう形で皆さんに届けるかと考えたときに、またドラマで配信するという方法もありましたが、やはりこれは劇場でこそ楽しんでいただきたく、大きな挑戦ではありましたが前シーズンのチームならやれるという自信がありましたので、ぜひ映画でいきましょうと提案させていただきました」(松橋プロデューサー)

    今作では、やまとが北極海でアメリカの最新鋭原潜を迎え撃つ中、国内では衆議院解散総選挙が行われ、やまとの支持・不支持も問われることになる。「前シーズンでは大沢たかおさん演じる海江田四郎が海から起こした波が政界や軍事に伝わっていきました。今回は選挙があって、国民ひとりひとりが参加することになる。‘私たち’の物語へと広がっていきます。そこに近い存在である上戸彩さん演じるジャーナリスト・市谷裕美の視点はより大事に脚色しました」とクレデウス・千田幸子プロデューサー。息を飲む潜水艦アクションと政治ドラマ。『沈黙の艦隊』が、この社会に、エンターテインメント界に起す新たな波を、今度はあなたが受け止めることになる。

    ※出典:GEM Entertainment Reach Tracker
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  • VOYAGE 2

    -大沢たかおと海江田四郎が放つもの-

    海江田四郎を演じる大沢たかおが、いるはずのない国会議事堂のセットに立っている。2024年8月15日にクランクインを迎えた『沈黙の艦隊 北極海大海戦』。初日は笹野高史演じる総理大臣・竹上登志雄が国会の壇上で衆議院解散を宣言するシーンから始まり、まだ海江田の出番はない中、今回もプロデューサーを務める大沢も撮影に立ち会っていた。いや、プロデューサーだからということではないのだろう。俳優として、人間として、そうする。そんな大沢だからこそ、プロデューサーにふさわしい。

    その大沢について、「今作の製作が正式に決まったときは、もちろん大沢さんもすごく喜ばれていました。大沢さんとしても大作ということで前シーズンに相当なプレッシャーもあったと思うんです。それをクリアすることが出来て、ここからむしろ本当の物語が始まるという一致団結感がありました」と松橋真三プロデューサー。戸石紀子プロデューサーは、「大沢さんは交友関係が広いので感想もたくさんいただいていたみたいですが、海外に行かれたときにホテルのフロントマンに“Mr. Kaieda! SILENT SERVICE!”と言われて驚いたと話されていました(笑)。今回も大沢さんがその人脈でいろいろ撮影の手はずをつけてくださって、前作同様に自衛隊の撮影協力も大沢さんがいなければ実現出来なかったです」と話す。

    大沢自身がクランクインを迎えたのは、8月26日。アメリカ合衆国大統領、ニコラス・ベネット(リック・アムズバリー)がホワイトハウスでの作戦会議中に、海江田の幻影を見るというシーンから撮影入りしている。10月19日のクランクアップまで約2カ月にわたった撮影は、まずアメリカサイドのパートから入り、日本の政治・マスコミパートが撮り進められ、最後にやまとパートという順番で行われた。前シーズンでは千葉にある巨大な倉庫をスタジオとして撮影が行われたが、今回はさらに大きな茨城の倉庫にセットが組まれている。その中で共演者、吉野耕平監督やスタッフと細やかにコミュニケーションを取りながら現場の中心にいた大沢。その吉野監督が印象的だったと語るシーンがある。

    「幻想的に揺らめくオーロラの下で艦橋から語りかけるところがすごく良かったです。北極海で周りには誰もいないけれど、その言葉は確実に世界に波及して届いていて、本当に世界を動かしていきそうな強さを感じさせる。大沢さんの芝居も素晴らしくて、海江田を象徴するシーンだと思います」(吉野監督)

    ミステリアスで神々しく、強くも静かで、繊細にもスケールの大きなオーロラの光。何色とも捉えきれない深いまばゆさが、海江田の魅力にも大沢自身の魅力にも重なる。今作ではその肉体の力強さとストイックさを垣間見せるシーンもあって、「あちこちの映画館に行って、黄色い悲鳴が上がるのを確かめたいと思います(笑)」と戸石プロデューサー。大沢=海江田が生む光、彼が照らし出すものに注目だ。

  • VOYAGE 3

    -北極海のバトルはいかに描き出されたか-

    今作の舞台となるのは、アメリカとロシアの国境線であるベーリング海峡。この極寒の北極海を潜航するやまとの前に、性能をはるかに上回るアメリカの最新鋭原潜・アレキサンダーが立ちはだかる。吉野耕平監督は北極海の描写について、「海には水しかないので、アクションシーンで潜水艦の動きを描くのがとても難しいのですが、そこに氷が広がっている北極海は映像表現として非常にいい舞台でもありました」とコメント。「その氷をうまく利用した戦術や操艦もあって、ほかの場所とは全然違うバトルフィールドの面白さは見どころだと思います。ただ、潜水艦の視点から見た北極海の資料がほとんどないうえに、ひと口に氷と言っても状態や条件によって見え方も変わってくるので、チームでイメージを擦り合わせていくのはなかなか大変な作業でした」。

    冬の北極は太陽が昇らない極夜となるため、ほとんど光が届かないという特徴もある。それに際してVFXの合成シーンでも、光を反射しやすいグリーンバックではなく、反射しにくいブルーバックを用いて撮影は行われた。「北極海は微生物が多いので、ピンと張り詰めた感じもありながら、どこか豊かさや潤いもある。その雰囲気は出したいなと思って、暗い中でも色味や光はこだわっています。ほとんどの人が見たことない、人類で彼らだけが到達した場所で戦っている面白さもあるので、イマジネーションを働かせました」(吉野監督)。

    また、現地で撮影した実景の画もふんだんに使われている。「北極鯨の実景も「沈黙2」を応援するかのような迫力があり、本編でも登場します。1カ月くらいカメラを置いて撮影したのですが、たまたま兄弟のように2 頭寄り添って泳いでいて。鯨と兄弟というのはこのシリーズの大事なモチーフやテーマでもあったので、その素材を見たときは涙しました」と戸石紀子プロデューサー。さらに今回も海上自衛隊の潜水艦にカメラを取り付けて撮影が行われているが、カメラの台数を増やしたのに加え、固定だけでなく新たに全方位360度を見渡せるカメラ・Insta360も設置。進化も深化もした画が映し出されている。

    激しい魚雷戦となる、知略と混戦のバトル。「最大の敵を前にした海江田をどう表現していくかというところは、大沢さんともカット毎に綿密に話し合いました。氷の下の極寒の世界ですが、じっとり汗が滲むような芝居をしてくださっています」と吉野監督。そのバトルの中、海江田とやまとクルー、またアメリカの面々のドラマも浮かび上がって来る。「『沈黙の艦隊』は起こっている出来事だけでも十分面白いですが、そこにある感情もきちんと映像に乗せていかないと、エンターテインメントとしていいものにはなっていかない。彼らは潜水艦に乗っていて、海の中なので風が吹くわけでもないですが、戦術ロジックと併せて彼らの思いや絆のドラマをエモーショナルに伝えられるよう気を配りました」(吉野監督)。極寒の世界で放たれる熱が氷を溶かし、汗と涙となる。

  • VOYAGE 4

    -政治をめぐるドラマと新キャスト-

    熱き戦いは海の向こうの氷の世界だけでなく、この日本でも国民の暮らしに直結する形で繰り広げられる。やまと支持を表明する総理大臣・竹上登志雄(笹野高史)の進退も焦点となっていく、衆議院解散総選挙。そんな政治をめぐる緊迫のドラマも本作の大きな見どころだ。「北極海での大バトルは、一見どこか遠くで起こっている、自分たちには関係のない戦いにも思えてきますが、その結果が日本の政治を動かすことにもなって、勝敗いかんで世界そのものがどこにどう転ぶか分からない。その不安と興奮が詰まっていて、原作でも非常に面白いと感じた部分でした。政治家たちにしても、政党や政策、個性もそれぞれだけれど、日本を良くしたいという思いは皆同じ。それぞれのキャラクターにも注目していただけたらと思います」と松橋真三プロデューサー。

    今回は新たに、壮大な政治信条を掲げる政治家・大滝淳役で津田健次郎、与党・民自党幹事長の海渡真知子役で風吹ジュン、またジャーナリスト・市谷裕美(上戸彩)と行動を共にするフリーカメラマン・森山健介役で渡邊圭祐が登場。キャスティングに関して戸石紀子プロデューサーは、「大滝は常に挑戦している人なので、キャスティングとしても何か新しい風を入れたいということで津田さんにお願いしました。海渡は原作では男性ですが、時代に合ったカッコいい女性の政治家にしたいと思ったんです。可愛らしさも品もある風吹さんに演じていただくことで、魅力的な人物になりました。森山はまさに今の若者の目線の役。そこを素敵に表現してくださる方ということで渡邊さんにお願いしましたが、上戸さんとのバランスもすごく良かったです」とコメント。彼らの熱が物語も観客の心も動かしていく。

    注目なのが、テレビ番組での党首討論会のシーン。手練手管の政治家たちがけん制し合う中、MCがある質問をしたことで、各々の信条が掘り下げられていくことになる。同シーンはスタジオで3日間をかけて撮影されていて、「それぞれに正義があって、何かを背負っているんだなということが伝わるようにと考えていました。ただ、その人にとって正義ではあっても、他の人から見るとそれはすごく危ういものでもあり得る。そこも大事にした部分です」と吉野耕平監督。

    あわせて、投票・開票の風景が潜水艦の描写同様に実直かつテクニカルでスタイリッシュに描かれているのも面白いところ。「後世に遺せるようにと言ったら大げさですが、フィクションでここまで選挙風景を描くこともないので、現代の選挙をできるだけしっかりと描きたいというのはありました。しかも普段から目にしているリアルなものだからこそ、そこを現実と地続きで描くことでフィクションの中にも入っていきやすくなる。選挙運動はもちろん、投票や集計というのも戦いの場でプロフェッショナルな作業ではあるので、そのカッコ良さは意識しました。そのあたりも楽しんでいただけたら嬉しいです」(吉野監督)。

  • VOYAGE 5

    -新しい挑戦を求めて-

    ある日の撮影現場。たまたまこの日、挨拶に訪れた原作者のかわぐちかいじが、モニターを食い入るように見つめている。新民事党本部のシーンで、画面に映し出されているのはふらりとそこに訪れた津田健次郎が演じる大滝淳。海江田四郎とも繋がることになる、今回の物語のキーパーソンたるキャラクターだ。

    前述のとおり、そのキャスティングに求めたのは「新しい風」だと戸石紀子プロデューサーは語っているが、吉野耕平監督も大滝自体を「新しい風というか、周りの空気を読み過ぎずに、あるいは読んだうえであえて引かずに突き進んでいくキャラクター」と評する。「ちょっと自由な存在で、まっすぐで明るい男だけれど周囲を混乱させていく。いいところだけを挙げていくとスーパーマンですが、ジョーカーでもあって、困り者としての面白さやどこか憎めない愛嬌のようなものもある。そこに関しては、津田さんとも話し合いました」(吉野監督)。

    もともと原作ファンで、再度作品を読み込んで役作りと撮影に臨んだという津田。その津田が演じる大滝を前にしたかわぐちは、「漫画の中の大滝は大事な決断をするときに目が笑うんですが、津田さんも決断されるときに目が笑っていますね」と顔を綻ばせる。大滝を体現する津田が、物語にも作品にもまさに新しい風を呼んでいる。

    そして、音楽でもまた風が起こる。前作に続き、今回も主題歌を担当するのはAdo。前作ではB'zが楽曲提供を手掛け、稲葉浩志の作詞、松本孝弘の作曲による「DIGNITY」が映画を彩ったが、今作では宮本浩次が書き下ろした新曲「風と私の物語」を力強くも包み込むように歌いあげている。「前作は海をテーマにしていましたが、今回のテーマはまさに風。さまざまなキャラクーの風が吹いているストーリーなので、また新しい挑戦ということで、風をテーマに壮大なバラードを作っていただきました」と松橋真三プロデューサー。

    挑戦の風。その風を吹かし始めたのは海江田四郎であり、大沢たかおでもある。今作でまた新たな海江田の顔を見せた大沢は、10月8日にオールアップ。やまとの艦長室のシーンですべての撮影を終えた。「撮影に入る前に、大沢さんに“生ぬるいことを続けても何もないから、常に前作を超えることをやっていかないと駄目です”って言われたんです。その中で今回は海と地上とアメリカサイドの物語、感動で涙できる要素、氷の中の異次元の戦いに加えて、かわぐち先生が原作で描かれたこんなことがあり得るのかっていう目を見張る展開もある。自画自賛になってしまいますが、これほどまで完璧なエンターテインメント作品はないんじゃないかと我ながら思っています」と戸石紀子プロデューサー。波が光を受け、氷も熱を帯び、新しい風が吹く。今秋、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が旋風を巻き起こす。

(文:渡辺水央)